石田淳、代表者ご挨拶


石田淳

高度の技術革新は、私たちに快適で安全な労働環境をもたらしてくれています。

しかしながら、日々のニュースから流れてくるものは、決して他人事ではありません。ちょっとした事故やトラブルによって日常生活が劇的に変わってしまうようなものが多く、いつ、どこで、自分の身に降りかかるかわからないという危機感を持たせてくれます。

情報公開が進んだ近年、たとえ小さな事故や本人1人だけの不始末であったとしても、瞬時に広く世間に報道されます。それだけではなく時には事実と異なった形で伝えられ、その人物が所属していた組織そのもののイメージダウンにつながる場合もあります。

企業を例にすれば、築きあげてきた企業価値を一瞬にして失ってしまうことさえあります。企業価値は、従業員が生み出す生産物・サービスによって決まり、生産物・サービスは従業員の行動によって生み出されます。つまり日々の行動のみが企業価値を生み出すといっても過言ではありません。

もし、すべての従業員が、ノーミスで行動できれば、こんな心配をすることはありません。ところが、生まれてから一度もミスをしたことがないような完璧な人間はいないでしょう。

特に企業トップの意志決定や有事の際のミスは、企業そのものの存続に関わるものであるだけに慎重の上にも慎重に行わなければいけません。

これは、安全管理に関しても全く同様です。

そもそも安全は、業務上の事故やケガを削減することから始まり、ケガに伴う費用削減や法令順守までに影響が及びます。 しかし、これらは安全管理の入口に過ぎません。企業のトップをはじめとして、その組織に所属する社員全体が参画した正しい安全文化を構築することにより、責任体制の明確な企業経営が可能になるのです。 安全は、設備がもたらすものでも、防護服や安全器具がもたらすものでありません。 設備を有効利用し、防護服を身につける従業員1人1人の「行動」にこそ真の原因が隠されています。

当協会では、アメリカの理論である行動科学セーフティマネジメント BBS(Behavior based safety)に基づいた指導を行っています。過去40年間で発見されたこの原理は、組織上の何千という問題を解決してきました。 例えば、あるテレビ用ブラウン管工場では、1年以上も悩まされ続けた品質の問題を、わずか1日で解決した事例が報告されています。アメリカでは大企業をはじめ、官公庁や団体・機関がBBS(Behavior based safety)に基づいた指導を受け、その数は官民合わせて600以上にのぼります。

行動科学セーフティマネジメント BBS(Behavior based safety)は科学的分析手段をベースとしているため、実は著名な企業にも導入例が多く、業種や規模を問わず、驚くほどの成果をもたらしています。

近年、コンサルタント業務を通じて多数の企業を内部から見てきていますが、今までの組織の形態では安全管理の面でも機能しなくなってきたことを痛感しています。労働者の意識、働き方自体が根底から変わりつつあるため、耐えているだけでは、快方に向かうことはなく、逆に転落が待ち受けているだけです。 製品コストや人件費を削減せざるを得ない中、組織を維持するには、限られた人材をいかに効率的に活用するか、行動させるかが鍵になっています。

そこで必要になってくるのが、新しい時代の安全管理での「行動」なのです。

現在の企業や各種機関において、最優先されるべき問題は何でしょうか。 それは安全管理の変革です。正しいノウハウを用いて、安全習慣という文化をいかに構築するかによって、組織の明日が決まるといっても過言ではありません。

組織を支えるものは、人材の「行動」です。 具体的な仕組みを企業や各種機関に提供できるメソッドは、決して多くはありません。

「結果は行動の集積である」 この「行動」に基づく安全管理は、従業員の日々の行動を改善させ、習慣化させる実践的メソッドです。この新しいメソッドを用いて皆さまの企業に新しい価値、「安全行動文化」をもたらすことができれば幸いです。